思考錯誤

これは、俺の人生の軌跡だ。

箱を取り払う前に、まずは中身を変えないといけない、ということ

日経に非常に興味深い記事が。

M&A、のれん代償却不要に 再編支援へ政府検討  :日本経済新聞

政府は企業がM&A(合併・買収)をしやすくするため、日本の会計基準を改める検討に入った。買収後の費用負担を軽くできるように欧米式の会計基準に合わせる。企業がM&Aで新事業を開拓し、利益を伸ばすのを後押しする。会計基準を策定する民間団体に要請し、新制度を6月に作る成長戦略に盛り込むことを目指す。

 日本の企業に積極的なM&Aを促し、国際競争力を高めさせようって狙いらしいけど、そんなんで本当に上手くいくんでしょーかね?

経産省が約300社の国内企業を対象にM&Aが進まない理由をたずねると、45%が「のれんの評価が難しい」と回答した。経産省幹部は「のれん代の償却義務があるので買収に踏み切れない企業が多い」とみている。

色々突っ込みどころはあるけれど、とりあえずこの質問の回答者って多分企業の経理とか財務を担当している部署の人でしょ?

ちょっと考えれば分かるけど、彼らはあくまでバックオフィサーであって、利益を生む人たちではありません。確かに経理の専門的な知識は持っているんだろうし、会社を上手く経営する為には、彼らは欠かせない存在です。

でも、実際に利益を生み出しているのは、商品を市場に売り出す営業であり、サービスや製品を作り出す開発・研究部門の人たちであり、製品を売る為の仕組みを作ったり、市場動向を調べるマーケット部門の人たちなんです。

僕も長いこと間接部門で働いているから分かるけど、僕たちは決して利益を生み出すことはできません。利益を生むのは営業部門。その利益を上手く巡回させるのが、間接部門の役割です。

で、話を元に戻すと、果たして経産省のインタビューに答えた人は誰なのか?
現場で忙しく働いている営業部長?
新しい製品を開発しようと日々頭を悩ませている研究者?

違うでしょう。

現場で利益を作っている人たちは、決して「のれん償却費が負担だからうちの会社は競争力がない」なんて言わないでしょう。

のれん償却費がなくなれば、企業の毎年の利益が増えて、その分法人税がたくさん取れるようになるよねってのが、政府の本音なんじゃないのかなあと思わずにはいられません。

だって本当に日本の企業に国際競争力をつけさせたかったら、そんなことよりも「どうすればもっと企業が市場からお金を稼ぐことができるようになるのか?」ってことに重点を置いて政策を練るでしょ?

そんな箱を取り払う前に、本当の国際競争力をつける為に変えなきゃいけないことがもっとある気がしてなりません。


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