思考錯誤

これは、俺の人生の軌跡だ。

「ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す」を読んで 〜電子書籍について〜

津田大介さんの著書を読んで、考えさせられたトピックスをいくつかに分けてエントリに書こうと思います。

 

 

 

今回は「電子書籍は普及するのか?紙の本は無くなるのか?」といったことについて見ていきたいと思います。

僕の結論としては本は徐々に電子書籍として普及する。紙の本は(いろんな人が言っているように)一定数残る。でも紙の本の市場規模は確実に縮小していく、といったものです。

■理由その1.スマートフォンタブレット端末の急速な普及。

その理由としてもっとも大きなものは、なんといってもスマートフォンタブレット端末の普及があげられます。

NTTデータ経営研究所によるこちらのレポートによると、

スマートフォンタブレット端末経由の電子書籍市場規模は2017年度には2,310億円に達し、2012年度から2017年度における日本の電子書籍市場規模の年平均成長率は26.8%と高度成長する予測となっている。

とのことで、出版業界での電子書籍のシェアは、2012年の4%から2017年には13.2%まで上昇すると予測されています。

思えば本が紙で書かれるようになったのもつい最近のことで、昔はパピルスや羊皮紙、木の皮などが書籍として流通していました。

印刷技術が無かった頃は、一冊一冊が人の手による写しで作成されており、本は今よりずっと貴重なものでした。

だから本=紙というのも今という時代の常識であり、何百年、何千年も先の人類から見れば紙の本というのは過去の遺物になっている可能性もなきにしもあらずなのです。

そう考えれば、電子書籍が紙の本に取って代わるというのは、いわば必然の流れなのかもしれないなあと私なんかは思っております。

■理由その2.普及を嫌がっているのは既得権の保有者である。

もう一つの理由は、電子書籍の普及を嫌がっている主な業界が、紙の本の流通に関わっている業界だから、というのがあげられます。

要するに反対の理由が自分たちの居場所を守る為だけであって、市場の変化を全く鑑みていないんですね。

津田大介さんが著書で述べているように、紙の本が読者の元に届くまでに「出版社」「印刷会社」「取次」「書店」と様々な業者が間にはいってきます。

電子書籍なら「印刷会社」「取次」「書店」の3つが必要でなくなり、その分本が安くなるはずです。

しかしそうはなっていません。

なぜか?

津田さん曰く

印刷会社などの企業が、紙の書籍と同じく電子書籍の流通にも中間業者として参入してきたから

とのことです。

今まで中間マージンをとっていた企業が、変わらず電子書籍の出版に際してもマージンをかすめ取ろうとしているから、電子書籍の価格が紙の本に比べて安くならない、という現状はあまり健全ではないと考えています。

こういう既得権益を守ろうと必死な業界は、出版業界に限らずいろんなところに存在していますね。

でも、はっきりいってくだらないな〜と思うし、多分そんなに長いこと既得権は守れないでしょう。

消費者にとっては安くて手軽に手に入る方が便利に決まっているし、津田さんの本によると、本の著者にとっても電子書籍の方が利益がたくさん出るらしい。

本は著者がいなければ発売できません。そして、買ってくれる読者がいなければ市場は成り立ちません。

一番川上にいる著者と、一番川下にいる読者にとってはメリットの方が大きい電子書籍化。

とくればその間で商売をしている人たちがとるべき道は決まってくるのではないでしょうか?

人間が人間でいる限り「本」は無くならないし、「出版業界」も無くならないと思います。

でも、その構造は時代によって変化していくものだろうし、その変化に対応しようとしない業界が、この先も生き残っていくことはないでしょう。

知恵を巡らせるべきは、どうやって既得権を守り通すかではなく、市場の変化をいち早くつかんで、その中で如何に生き残るかといったことではないでしょうか?

まあといってもすぐに電子書籍が紙の本にとって変わるとは思いませんし、しばらく電子書籍は一部本好きの人の嗜好品であり続けるでしょう。

でも個人的には早く電子書籍がもっと普及して欲しいな〜と思う次第であります。