【書評】ちきりん「世界を歩いて考えよう」を読んで
文庫本になったとちきりんさん本人のブログで知り、そういや最近自分もこの本を人に勧めたよな、ということで再度読み直したら、なるほどと思うところがあったのでブログにしたためます。
■日本にいたら気付かない「世界」の価値観
例えばビルマ(当時)でのエピソード。
ちきりんさんは、1980年代にビルマ(現ミャンマー)に訪れたことがあるとのこと。
当時のビルマでは、入国する際に一定の米ドル相当額を、ビルマ通貨に両替するように求められたそうです。
その理由というのが、ビルマ国内のお金の流通量を増やすためであったという記述には、心底びっくりしました。
ちきりんさん曰く、当時のビルマではブランドショップや高級レストランも無く、お金を持っていても使い道が全くなく困ってしまったとのこと。これはビルマ国内のいわゆる富裕者層の人にも言えたことらしく、とにかくお金を使う場所が無い。
そんな感覚、日本にいたら絶対に持つことがあり得ません。日本なら、その気になればいくらでもお金を使うことができます。少なくとも「お金の使い道に困る」なんて感覚は絶対に持ちようがありません。
もう冒頭の数ページだけで、自分の世界の狭さをまざまざと感じさせられました。
そういえば、大学進学を機に一人暮らしを始めたとき、初めて訪れる土地で、自分の地元とは全く違う風習を目の当たりにした時、とてつもないカルチャーショックを受けたことがありました。具体的に言うと、コンビニでおでんを買った時にからしだけでなく「みそ」がついてきたこととか、真っ黒なおでんのだし汁をみたこととか、トンカツにみそベースのたれをつけていることとか(どこにいったかがバレるな、、、)、本当にショックを受けたものでした。
同じ国内でも、住む場所を変えるだけで様々なカルチャーショックを受けます。エスカレーターで皆左側に整列するとかも、大分衝撃を受けました。
でも、日本を出ると、そんなことは比較にならない位のショックを受けるんだろうなと、本書を読んで感じました。そして、まだそんな機会を得ていない自分は、なんて幸せなんだろうとも思いました。
これから先の人生、まだまだたくさんの知らないことに出会えるんだ!
と考えたら、日常のどーでもいい悩みが一気に吹っ飛んで、世界がとても明るいものに感じることができました。
今更バックパッカーみたいな旅にでることは難しいだろうし、そういう旅をしたいとも正直あまり思わない。でも「観光」でいろんな国を訪れることはできる。
観光じゃ本当の世界は味わえないぜ?と言う人もいるかもですが、観光でも十分外の世界を体感することはできると思うし、観光でしか見えてこない世界もあると思います。
まあ、東さんの「弱いつながり」の受け売りなんだけど
観光なんてものごとの表層を撫でるだけだから、観光で行くぐらいならむしろ行かないほうがましだというひともいます。しかしそれは違うと思います。表層を撫でるだけだろうとなんだろうと、どこかに「行く」というのは、それだけで決定的な経験を与えてくれることがある。
言葉にできないものを経験する為には、結局自分の日常とは違う世界に飛び立つしかないのです。その為にも「旅」にでること。とりわけ日本という国から外に出ることは、非常に重要なんだと思いました。
まだまだ世の中は面白いことで溢れている。そう考えるとワクワクしてきました。