思考錯誤

これは、俺の人生の軌跡だ。

【書評】池上彰の読書論「学び続ける力」を読んで

 

学び続ける力 (講談社現代新書)

学び続ける力 (講談社現代新書)

 

 池上彰さんの本は、分かりやすくてよく読むんだけれど、彼の本でブログを書こうと思うとなかなか書けない。

 

あんなに分かりやすい本なのに、何でなんだろうといつも不思議に思っていたけど、最近その謎が解けた気がする。

 

彼は、自分の本の中で自分の考えを述べない。

 

これは池上彰さん自身が何度も言っていることだけど、彼は公の場で自分の考えを主張しないようにしている。それよりも複雑に見える世の中の出来事をできるだけ分かりやすく解説するかに心を砕いている。自分の考えを押さえて、ひたすら事実関係を明らかにしようとしている。だからこそ彼の本はとても分かりやすく、多くの人に読まれているのだろう。

 

もちろん全く自分の考えをにじみださせないのは不可能だろうけれど。

著者が自分の考えを意識的に書かないようにしているから、だから彼の本を読むと知的好奇心は満たされるし、勉強にはなるけれど、感想を書くことがとても難しい。

 

「世界でこういうことが起きている。自分は全く知らなかった。とても勉強になった」でおしまいである。いや、それが悪いわけじゃないし、彼の本を読むことでニュースに対する洞察が深まれば、今度はそのニュースに対する自分なりの考えを持つことができるようになるから、全然OKなんだけど。むしろ読め!って感じ。

 

さて、普段は自分の考えを表さない池上彰さんが、珍しく自分のことを語ったのが本書である。

 

即効性のある知識を追い求めるだけじゃなくて、学び続けるという習慣こそが大切なんだということを伝えている。特に本を読むのが好きな自分には「読書の楽しさ」という章が勉強になった。

 

本を読むことは、他人の考えを追従するだけであり、単に本を読んで満足していては行けない。良い本を読んだら、すぐに次の本を読むのではなく、その本の内容に思いを巡らせ、自分の考えを持つことです。本を読み終えたらいったん本から離れて、その本の内容を吟味する。そう言った作業を通じることで、その本が本当に自分の血となり肉となるのでしょう。

 

こうやってブログにしたためるのもいいことだと思います。個人的な体験でも、ブログで取り上げた本の内容は、ずっと心のどこかに残っています。単発で終わらせるのではなく「学び続ける力」が何よりも重要なんだなあと気付かせてくれます。

 

普段の解説本に飽きたらぜひ、手に取って読んでみることをおススメします。 

学び続ける力 (講談社現代新書)

学び続ける力 (講談社現代新書)