思考錯誤

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【書評】投資家がお金よりも大切にしていること その4

 

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

 

お金について色々考えさせられた本書。

 

今回はブラック企業がなぜ増えたのか?という点について。

 

筆者の藤野さん曰く、ブラック企業が増えた責任は、経営者のみにあるのではなく、我々消費者にもあるのだそうです。

 

どういうことか。

 

現在日本は構造的なデフレに苦しんでいてい、年収が300万円に満たない人が増えているそうです。まあ、自分もその辺をウロウロしているから、実感としては分かります。

昔は10人の大人がいたとすれば、8人が年収500〜800万円で、1,000万以上稼ぐ超リッチが2人、残りの2人が年収300万以下という感じでした。

 

(やや極端ではありますが)今は7人が300万以下、残りが500万以上というふうに、その割合が変わってきました。

 

そうなると、今まで企業は年収500万以上の人たちを相手にした商品やサービスを作っていけば順調に利益を出せていたのですが、それではモノが売れなくなってしまいます。

今まではターゲット層が8割もいたのに、今じゃ3割しかいません。

普通に考えても売上は半分以下になってしまいますね。

 

そうなると、企業は年収300万以下の人を対象にした商品を開発せねばなりません。

その結果として世の中に浸透したのが、格安居酒屋や牛丼チェーン店、ファストファッションブランドなどです。

 

これらはすべて、より安い価格でサービスを提供することで、シェアを伸ばしてきた業界です。

 

そして、今世間をにぎわせているブラック企業も、大体がこういった業界に所属している会社です(まあ、見えないところではもっと色々あるし、介護業界なんかはまた別の意味でブラック化しているんだけど)。

 

消費者である我々が、よりやすい商品をもとめるようになった。

じゃあ、どうやってより安い商品を提供できるようにしたのか?

そうです。人件費を削ったのです。

従業員の数を減らし、一人当たりの給料を減らし、そのかわり一人当たりの仕事量は格段に増やしたのです。結果として、そういった企業では長時間労働が常態化してしまいました。

 

この本によると、安いものを提供しようとすると、結局そのしわ寄せがどこかに向かうわけで、それが日本の企業では従業員だったのだと。その結果として、企業はブラック化してしまったというのが、本書の主張です。

 

つまり、我々消費者にもその責任があったのです。

だって、それを選んだのは僕たちだから。

 

昔から「日本人はサービスし過ぎ。コンビニも24時間開いてなくていいし、そんなにお客様大事にしなくていいから、もっと早く仕事終わらせよーよ!」と思っていた僕に取っては、やっぱりそーだよな!と思ったんだけど、まあ一般的には受け入れがたい理論ではあるよな、とも思いました。著名人がブログでこんなこと言ったら炎上しそう。

 

もちろんブラック企業ブラック企業である理由もそれだけではないでしょうけど、我々の行動で変えることができることがあるなら、考えるべきことだよな、と思いました。

 

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)