【書評】胸がキュンキュン。「恋染紅葉」はジャンプ史上稀に見る純愛マンガ
「ぼくは愛を証明しようと思う」(通称「ぼく愛」)が純度200%の恋愛小説だとしたら、こちらは純度100%の青春恋愛マンガだ。
ストーリーは、取り柄は誠実さだけという、非モテオーラ全開の男子高校生が、あり得ないほどかわいい女優や、今はトップグラビアアイドルまで成長した初恋の相手であるかつてのクラスメイトと、くんずほぐれつの恋愛を繰り広げるというものだ。
まあ、冷静に考えるとあり得ないシチュエーションだ。
そして、少年誌では、このような誠実さ以外になんの取り柄も無いようなピュアな主人公が、なぜかAクラス以上の女の子にモテまくるというストーリーが受けがいい。
やはり、その多くがモテない思春期の男子中高生を想定読者にしているから、彼らに夢を与えるマンガがヒットするのは、当たり前のことなのかもしれない。そして少年たちは大人になり、厳しい現実を知るのである。そう、かつての僕がそうだったように。
そこでたまたま非モテコミットした女の子と結ばれたならいいけど、僕のように全然結ばれなかった男たちのたどる運命は悲惨である。そして、そんな僕たちに救いの手を差し伸べてくれたのが、「恋愛工学」なのである。その辺の話は、またの機会に譲ろう。てか、一般事務員のぼくは、まだ全然実践できていないのだが、、、。
話を戻して。このマンガ、いわゆる非モテコミット全開のマンガではあるのだが、なぜだろう?胸がキュンキュンして止まらない。青春とはこういうものだ!と直球ストライク。
この作品は、バランス感覚が素晴らしい。コメディ過ぎず、重くならなさ過ぎず、さわやかで、ちょっとHで、でも、高校生らしい葛藤があってと、まあ共感できるポイントが多いのです。ニ○コイみたくファンタジスタ過ぎない!かゆいところに手が届く感じ?あと、鎌倉って舞台設定もいいね。都会過ぎず、田舎過ぎず。
幸せの形って言うのは人それぞれで、きっとこういう恋愛を高校生の時に体験していたら、恋愛工学なんてものに出会わなくっても、十分幸せな人生をおくることができたんだろうな。
そりゃあ、オスとしてはいろんな女性と関係を持ちたいと思うのは当然だし、高校生の時にこんな素敵な恋愛なんてまるで縁がなかったその他大勢のモブ男子(含む俺)にとっては、恋愛工学こそが真実なんだろうけどもね。
それでもこういった教科書通りの、例外的な幸せの形があってもいいじゃないか。
そして、やっぱり僕たちはこういった純愛に、どこかしら憧れるのである。
いやあ、本当に打ち切られて残念きわまりない作品だよ。作中に出てくる恋染紅葉っていう小説に絡めたいろんな話があったんだろうし、それぞれのキャラクターのサイドストーリーももっと楽しみたかった。
まあ、打ち切られたからこそ、逆に綺麗にまとまったというのもあるのかもしれない。ジャンプはとにかく人気が出た作品を、過去の成功事例に当てはめてフォーマット化するからな。それで過去にどれだけの名作が残念な結末を迎えたことか。。。
人生で一度くらい、こんなかわいい女の子に「大好き」って言われたいですね。その為にもファンダメンタルバリューをあげねば!全4巻で、Kindle版なら大人買いしてもたったの2,000円!!読め!!!