【ムニエル】魚をふんわりと焼き上げるコツを紹介しよう。【マスター!】
さっそく紹介しよう。
まず、魚の皮のついている面に塩をふりかけ、余分な水分を吐き出させる。
浸透圧ってのが関係しているらしいが、イオンだとか小難しい話が出てくるので、理科が苦手な人は考えなくてOKだ。浸透圧という言葉だけ覚えておけば、それっぽく聞こえる。
さて、浸透圧の影響で魚の表面には、うっすらと水分がにじみ出てきたことだろう。この水分に、魚が持っていた「臭み」が含まれている。ぷーんと臭う、例のアレだ。
おいしい料理を作る上で大切なことは、一手間を惜しまないこと。料理を食べる人に対するちょっとした気遣いがあるかないかで、その出来映えは全然違ってくる。まあ、僕の場合、作るのは俺。食べるのも俺なんだけど。
汗は、放っておくと臭うだろう?臭いんだよ、ぼくの体は。おっと、それは今は関係ない。つまり、塩をふりかけたことでにじみ出た魚の水分は、キッチンペーパーで、きっちんと拭き取っておこう。うん、悪くない。
この作業を怠ってはいけない。料理のコツは、素材のもつ臭みを取り除き、旨味を最大限引き出すことにある。だから、そのための手間は絶対惜しんではいけない。逆に言えば、そこさえおさえておけば多少見た目が不格好でも無問題だ。ぼくだって綺麗に野菜をさばけない。
さて、臭みを含んだ余分な水分を拭き取ったら、今度は熱したフライパンにオリーブオイルをたらして、魚を焼いていこう。このときのポイントは、皮を下にして焼くことだ。まちがっても、先に身を下にして焼いてはいけない。
魚の身はとてもデリケートだ。
だから、いきなり直接フライパンの熱い部分をあてがうと、繊維がぼろぼろになり、パサパサしてしまう。そう、直接的に刺激してはいけないのだ。やさしくやさしく、外堀を埋めていこう。
皮を下にして焼いていると、徐々に身の部分の色が白っぽくなっていくのが分かるだろう。ここで焦ってはいけない。じっくりと火を通し、全体の8〜9割ほど色が白くなるまで待とう。そうそう、火加減は中火と強火のちょうど中間ぐらいが好ましい。
そして、皮を下にしたまま身全体の8〜9割ほどが白っぽくなったら、ここで初めて身の部分を下にする。素人がやりがちな失敗は、ここで魚を上からぎゅっと押さえつけることだ。これは本当におススメしない。せっかくふんわりと焼き上がりかけた魚の身の繊維が、余計な圧を受けることで、台無しになってしまう。何度も言うが、魚の身はとてもデリケートなのだ。女性を扱うように、慎重に慎重にタッチしなければならない。
そして、しばらくして十分に火が通ったら、ムニエルの完成だ。
おめでとう。きっと君の作ったムニエルは、今まで君が作ってきたものと全く別の食べ物になっているだろう。皮はパリッと、身はふんわりと。そう、高級フレンチで味わったあの食感が、お手軽に家庭で楽しめるのである。
いやあ、酒が進むね!