【書評】東 浩紀「弱いつながり」を読んで
人間は環境に強く影響される存在で、例えば東大に入りたいと思ったら、必死に勉強したり、良い参考書を探したり、良い予備校に通うよりも、東大合格者を毎年多数排出している高校に進むのが一番手っ取り早いのだという。
ようは、「東大に進むのが当たり前」の環境に自分をおいて、その環境に慣れることが肝心だ、というのである。
お金持ちになりたければ、お金を持ってる人たちと付き合っていれば、お金を儲ける手段がわかり、自然と自分もお金持ちになれる。
ぼくたちは環境に規定されます。「かけがえのない個人」などというものは存在しません。ぼくがちが考えること、思いつくこと、欲望することは、たいてい環境から予測可能なことでしかな。あなたは、あなたの環境から予想されるパラメータの集合でしかない。
これは決して自虐的な話ではなく、人間はそういうものだと、東さんは言います。
己を知り、敵を知れば百戦して百戦危うからず。じゃないですが、まずはそういうものだということを認識することが大切です。
人間が環境によって規定されるのであれば、自分を変える為の方法はただ一つ。
「環境を意図的にかえる」
のです。
とてもシンプルで分かりやすい。
環境を変える為には、今の自分の姿にノイズを入れる必要がある。
そのノイズを入れる為には「弱い絆」が必要。そしてその「弱い絆」はリアルの世界で見つけることが可能だと東さんは言います。その為には身体の移動。つまり「旅」が必要。
ここでいう旅っていうのは、もちろん世界のいろんなところに行くっていうのもあるだろう。
ちきりんさんが「世界を歩いて考えよう」で行っているように、日本にいたら見えてこない価値観が世界には広がっている。
でも、自分を本当に変えたいと思ったら物理的な旅に出るのも大切だけど、普段の自分が所属する環境を変えるのが何よりも大切なんだろうなと思った。
今まで通りだと、結局いつまでたっても今まで通り。
勇気を出して、自分から動くことが何より大切なんだな、と思いました。