思考錯誤

これは、俺の人生の軌跡だ。

解決策は、知恵をつけ、団結することだ。人材派遣業界の闇を砕くためにできること

過去記事は下記。

苛烈な価格競争が一番の問題 人材派遣業界が陥った構造的なワナとは?

派遣業界の仕組みについて、ちょっとまとめてみた。

 

久々に下記本の感想です。

 

 

 

さて、今回は大手企業がなぜ、違法な人材派遣業がはびこった原因と言えるのか?という点と、その上で、この業界の歪んだ構造を是正する為には、何をしなければならないのか、といったことを見ていきたい。

 

なぜ大手企業が違法な人材派遣業がはびこった原因と言えるのかと言えば、彼らが積極的に違法な人材派遣会社のクライアントになったからである。

 

彼らがお金を派遣会社に落としてくれるからこそ、派遣会社も自信を持って?自分たちの違法な運営スタイルを継続させてきたのである。だって、それで儲かるんだもの。

 

なぜ大手企業が違法と分かっていながら人材派遣会社にお金を落としたのかというと、それは、必要以上に迫られるコスト削減対策の為である。

 

これは大手企業というより、官公庁なんかの方が顕著なのかもしれないけど、要するに「無駄なお金を使うな」という外部からのプレッシャーに晒されたくないが為に、違法な人材派遣会社を使うことで簡単に減らせる人件費を削ることで 、その圧力を巧みに交わしてきたのである。

 

経費削減や税金の無駄遣いの防止、法律遵守や公共の福祉への貢献を求められる多くの団体、企業が、事業入札に安値で臨む人材派遣会社を「歓迎」していることである。落札させる際、その人材派遣会社が労働者をどう処遇しているかはまったく考慮されない。

 

ということである。

 

この本に書かれている通り、本来なら積極的に違法派遣を撲滅すべき立場にある人たちが、自分たちの立場を守る為に、違法派遣業界に頼っているというのは、皮肉以外の何ものでもない。

 

企業はなぜ人材派遣に頼るのか? 直接雇用の労働者に日給一万円が支払われている場合、人材派遣会社に支払う労働者一人あたりの額も一万円で変わらない。しかし、派遣労働者の人件費は繁忙期だけで済む。雇用主としての義務や責任についても派遣先企業は負わなくていい。つまり直接雇用に比べはるかに気軽に使えてコストダウンが可能だからだ。 一方、派遣労働者の手取りは間に人材派遣会社が入ることで六〇〇〇~七〇〇〇円に減額されてしまう。損をするのは労働者だけで、人材派遣会社も派遣先企業も確実に利益を得られる。人材派遣は直接雇用、常勤雇用を侵食する形で増えていき、現実は厚生労働省や財界の建前論からどんどん乖離していった。

 

じゃあ、この現状をいかに解決するのか?

 

もうそれは、本当に理想的な話であって、全然現実的じゃないんだけど、違法で雇われている人たちが、タッグを組んで雇用主と派遣先を訴えるしかないんじゃないだろうか?

例えば仕事を全員でボイコットしたり、法律違反を訴え、環境改善を要求するだとか。もしくは公的機関やマスコミに対し、自分たちの置かれている状況を訴え、この問題を知らない(もしくは関心の無い)人たちの注意を引きつけ、この問題を顕在化させるのだ。

 

とはいえ、いくら声をあげたところで、時が経てば人々の関心は薄れてしまうし、いろんな事情があり、それぞれ友達でも知り合いでもない派遣労働者達が、何の損得もなく、一緒に協力し合うというのは、なかなかどうして現実的ではない。

 

それよりも、派遣労働者が、派遣以外の働き方を見つけることの方が、まだ現実的ではないだろうか?


本書で問題になっているのは、中高年の派遣労働者である。彼ら中高年の労働者には、派遣会社が提供するような単純労働以外の仕事をするだけのスキルがある。本書では、そんなの無意味なスキルで、そのスキルを持ってお金を稼ぐことはできないよ、というようなニュアンスである。

 

でも、本当にそうだろうか?

 

それは、その人の考えかた一つでずいぶん変わってくると思う。

 

特別なスキルが無くたって、世の中に提供できる価値の一つや二つは、誰だって持っているものだ。

 

それこそ派遣ブログでもいいのではないだろうか?美味しい仕事の見分け方だとか、この派遣登録会社には気をつけろ!みたいなブログは、多くの派遣労働者にとって貴重な情報源になるだろう。

 

僕は思うに、40をすぎて会社を離れたら働けない、なんて人はそんなにいないのでは?

本当は自分の持っている価値に気付いていないだけで、うま〜く立ち回れる手段さえ見つけられれば、違法な派遣業界に頼らなくたって生きていける、はずである。

 

まあ、とはいえ体を壊したりだとか、心を病んでしまったとしたら、まずは健康な身体を取り戻すことが最優先となる。そういった「失敗した人」をきちんと救えるセーフティネットが、まずは何より重要になってくるだろう。結局この問題の根っこにあるのは、派遣労働業界に身を置かなければ食べるのにも困る、という現状である。そういう人たちに、別に無理して派遣労働しなくても、最低限の生活を保障する制度をきちんと整えるべきではないだろうか?

 

以上、かなーり理想論ではあるが、違法な派遣労働を撲滅する為の僕なりの考えを述べてみた。

 

まあ、ただ本を読んだだけで、実体を詳しく知らない僕なんかが書いた提言がうまくいくほど、この問題は単純では無い。それでも何も考えずにぼーっと「大変ですね」で済ませていたら、ますます何もできなくなってしまう。

 

まずは関心を持って、この問題を自分事として捉えることから初めてみるのがいいのではないか?

 

知らなければ、何もできないのである。

 

それにしても、僕もこのままだとあと10年もしたら派遣労働者になりそう。

 

そうならない為にも、今から色々考えなきゃなーと。